非常に失礼な話であるがイチロー選手が世にでてくるまでは、アスリートは「頭も良い」ということを知らかなった。アスリートは体が凄いのであって頭脳はまた別であると考えていた。
しかしイチロー選手が登場してからは、一流アスリートは天才なのだということを初めて知った。これはおバカな俺だけの偏見であればよいのだが、果たして本当にそうだろうか。
もしかしたらアスリート達自身でさえもイチロー選手の高度な言語化能力による表現を耳にするまで自分達が頭も天才だということに気づいていなかったのではないだろうか。
考えてみれば、体を動かすのも脳、考えるのも脳なのだから、一流アスリートが優秀な脳をもっているのは当たり前だ。
本記事の内容は、著者の独断と偏見です。
ご本人様とは一切関係ございません。
関係者やファンの皆様の気分を損ねてしまわぬよう細心の注意を払っております。まったく無関係な愚か者の単なる一考察として捉えてください。
イチロー選手の動画をみながらポイントをまとめて、スポーツ、仕事、人間関係、人生の哲学を学んでいこう。
2021年12月の動画。まずかっこいい。見た目がかっこいい。
人間の中身は自然と外見にもにじみ出てしまうもの。
少なくとも見られる立場であれば外見にも気を付けなくてはいけない。
冒頭でいきなりイチロー選手がよくいう言葉がやはり登場した。
急ぐのは自分の形ができてからだということ。最初に速さをもとめると結果にはつながらないということ。
それはイチロー選手の話し方にも如実にあらわれている。イチロー選手は言い間違いをあまりしない。考え方、話し方でも空振りが全くないのだ。
話す時、考える時も今の自分以上の飛躍をしようとはせず、言葉ひとつひとつを確かめているからだろう。
野球への向き合い方と、考え方が強く関連している。
若い選手に対して上から目線になっていない、それはイチロー選手が遠い遠い完璧な野球というものをいつも目指して、それにみんなで力を合わせ向かっていこうという意識があるからではないだろうか。
この完璧な野球については、プラトンのイデア論に近い考えをもっていると思われる。
高校生選手が質問をするが、細かく言語化ができている質問に程、イチロー選手の答える熱意が強まっている。これをみるだけでもイチロー選手が言葉を非常に大事にしていることがわかる。
回答は「一日に10球でも5球でも」「肩甲骨で引っ張って」と、非常に細かくてわかりやすい。これはいつもイチロー選手がおっしゃる「できることをやる」ということにつながる。そして練習やフォームというものを細かく分解していることもわかる。当たり前だが凡人ができない「一つずつコツコツと」ということだ。
そういえば別動画で、イチロー選手がスマホに指紋がつくのがいやだから小指でさわるといっていた。あのパワフルで豪快なプレーをするイチロー選手がである。物事の細かい部分にまで気が付く人なのだろう。だから練習も、フォームも細かく細かく分解する。そして分解したものを解析してひとつずつ理解して身につけていく。これはまさにノーベル賞級の研究者がすることだ。もしもイチロー選手が野球に出会っていなかったなら、学術的分野でノーベル賞を受賞していただろう。
そしていよいよのバッティングでは「フックしているときは僕の形ができていない」「これはもうバテてきている、こっから形を崩してはいけない」といい、よい事も悪いことも、常に自分へフィードバックをしている。こういう時は自分は良いコンディションである、ということを覚えている。
分解 ⇒ 解析 ⇒ フィードバックしながら一つずつ一つずつ自分のものにする ⇒ スピードをつける
そして最後は「僕純粋だからさ、野球に対してね(笑)」「最近趣味は野球で、野球に今はまってるんだって言う」と言えてしまい、その言葉に説得力があるのがなんとも凄い。自分のすきなことをみつけた人間の重みのある言葉である。同時に周囲へ威圧感や血のにじむ努力をしたことを感じさせない配慮をしている。
すこし話題がそれる。ジャック・アンドレカという十代青年が画期的なすい臓がん検査を発明してTEDでとりあげられている。
彼もすい臓の早期発見という難題を分解して、解析して、一つずつ解決していった。今までの常識をやぶるというところも含めてイチロー選手と同じ考え方なのだ。
さらに話はそれるが、日本の高校生が化学の定説を覆したというニュースもあった。
火を使わなくても爆発、なぜ? 化学の定説覆した高校生2人が米国へ
イチロー選手とこれら素晴らしい若者達に共通しているのは、権威を鵜吞みにせず、自分の頭できちんと考えていること。これがいやはや難しい。
アインシュタインの言葉をあげておこう。
「常に自分自身で考え、常に自分自身で判断することが重要だ。自分が独立した思考者であるかぎり、何かを成し遂げることができる(何も考えずに権威を敬うことは、真実に対する最大の敵である)。」
何十億人という人がネットの情報にふれ、お互いに交流できるようになるため、今後さらに「権威がないが自分の頭で考えた人の大発見」が増えるだろう。それと同時に「ネットでみんなこういう意見なのだから正しいだろう」と他者の意見を鵜吞みにしてしまう人も多くなってしまうかもしれない。
次の動画をみてみよう。
イチロー選手の引退会見が名言ばかりだ。
イチロー選手の思考の順番をおってみる。
自分の好きな、愛せることをみつける → 人ではなく自分を少しずつ超えていく → 間違っているかもしれない、後退もするけど自分がやると決めたからこそできる。
さて2024.12にテレビ番組、情熱大陸でイチロースペシャルが2夜連続で放送され、TVerで視聴した。
イチローは今もアメリカ合衆国ワシントン州シアトルに住んでいて、毎日ユンケルのんで、筋トレをして、マリナーズの本拠地であるT-モバイル・パーク(旧セーフコ・フィールド)に通い、インストラクターの部屋を用意してもらっているのにボールボーイのところにロッカーを置き、誰よりもさきにグラウンドで練習をはじめ、なんとマリナーズの現役選手のたまひろいをしていた。
「グラウンドにたたせてもらっているのが大きい」とイチローは謙虚な態度だ。
そしてなんと「メジャーリーグからオファーがきたら断らない」と決めているという。ご本人は「コーチと選手のあいだにいる存在」といっているが、現役復帰を狙っているくらい情熱がみなぎっていた。
それがいやらしい野心によるもののはずがなく、イチローがいつもいう「自分を超えられるのか」という自分による自分の評価や、純粋な野球愛からである。
自宅に帰ると「二匹」の愛犬を思わず「二人」と言い間違えたり、高校野球の教え子たちの手紙を几帳面に封をはさみで切ったりしている様子をみると、プライベートのことや夫婦間のことについて部外者が憶測でものを言うべきではないとわかっているものの、なんだかジーンとしてしまった。
そして高校野球の教え子たちへの言葉が感動的だった。
「人の痛みをわかる大人になってほしい。」
1歳後輩になるゴジラ松井とお酒を楽しむシーンでは、データによる野球をかなしむ話をしていた。
「それぞれの役割がない、退屈でストレスがたまる。」と。
ゴジラ松井もイチローに勝らずとも劣らないスーパースター。
そういう二人がMLBで主流になってきているデータ野球にそろって違和感をもち、苦言を呈しているのだ。
この言葉は、野球やスポーツだけではなく、AIやビッグデータに日々翻弄されつつある全人類がもう一度考えるべきものだろう。
それにしてもゴジラ松井って、こんなに優しく包み込むように相手の話を聞く方だったと今回はじめて気づいた。超一流選手は人格もすぐれている。
最後はイチローが高校時代を過ごした寮を訪問していた。
さすが高校球児、上下関係が厳しく、醬油やマヨネーズを禁止されたり、お風呂の立ち位置だったり、生易しい環境ではない。
そんな中、イチローらしいエピソードが、「午前2時に一人起きて、洗濯機を占有していた。その時間しかとれないから」というもの。
イチローの美意識は高校時代もあって、妥協しないために午前2時に起床していたとは・・・。素晴らしいとか凄いとかいう凡人の解釈を通り越して、人間以上の何かそら恐ろしささえも感じてしまう。